給湯器の据置型から壁掛け型へ変更する際の注意点と手順
「家の外壁に給湯器が設置されているけれど、今の据置型を壁掛け型に変更したい」とお考えではありませんか。給湯器の設置場所や形を変えることは、見た目をすっきりさせたり、庭や通路のスペースを有効活用したりするために非常に効果的なリフォームです。
しかし、給湯器は単なる家電ではなく、ガスや水道、電気に関わる重要な設備です。設置形態を大きく変えるには、機器の選定だけでなく、配管工事や固定方法など、クリアすべき条件がいくつかあります。
この記事では、給湯器を据置型から壁掛け型へ変更する際の具体的な検討ポイントと、失敗しないための進め方について、専門的な視点から分かりやすく解説します。
設置形態を変更する前に知っておくべき基本事項
給湯器には大きく分けて「据置型」と「壁掛け型」の2種類があります。据置型は地面に台座を置いて設置するタイプ、壁掛け型は外壁に金具を取り付けて吊り下げるタイプです。
これらを入れ替える場合、単に本体を載せ替えるだけでは済みません。設置位置の物理的な高さや、接続されている配管の取り回しが全く異なるため、工事には計画的な準備が必要です。
1. 外壁の強度確認
壁掛け型に変更する場合、最も重要なのが「外壁が給湯器の重量を支えられるか」という点です。給湯器本体は意外と重量があり、稼働時の振動も加わります。サイディングやモルタル壁であれば通常は問題ありませんが、外壁が老朽化していたり、中が空洞の構造だったりする場合は、補強工事が必要になることがあります。
2. 配管の長さと接続位置
据置型は通常、地面に近い位置から配管が出ていることが多く、壁掛け型は高い位置に配管が集中します。設置形態を変えると、既存のガス管、水道管、給湯・追い焚き管の長さが足りなくなるケースがほとんどです。この場合、配管を延長する工事が必須となります。
3. 排気口の向きと距離
給湯器の排気は高温になるため、周囲への影響を考慮しなければなりません。特に壁掛け型に変更すると排気位置が変わるため、窓や換気口、隣家との境界までの距離が適切に保てるかを確認する必要があります。建築基準や安全基準を満たしていない場所には設置できないため、事前に設置環境のチェックが欠かせません。
壁掛け型に変更するメリットとデメリット
ライフスタイルや住環境に合わせて設置方法を見直すことは、長期的に見て大きなメリットがあります。一方で、注意すべき点も理解しておくことが大切です。
壁掛け型へ変更するメリット
スペースの有効活用: 地面に設置していた給湯器がなくなることで、通路が広くなったり、庭のスペースがすっきりしたりします。
清掃性の向上: 下の空間が空くため、地面の掃除がしやすくなり、雑草対策や防草シートの施工も簡単になります。
浸水リスクの低減: 大雨や台風による冠水リスクがある地域では、地面から離れた位置に本体を設置することで、機器へのダメージを避けることができます。
壁掛け型へ変更するデメリット
設置工事費用の増加: 配管の延長や壁の補強が必要になるため、単純な本体交換よりも工事費が高くなる傾向があります。
メンテナンス性: 高い位置に設置されるため、将来的な点検や修理の際に足場や脚立が必要になる場合があります。
工事の流れと確認すべきポイント
壁掛け型への変更を決断したら、まずは現場調査を依頼しましょう。自分だけで判断せず、プロの意見を聞くことが最も確実です。
現地調査での確認事項
業者が訪問した際には、以下の点を一緒に確認しましょう。
ガスの供給能力: 号数をそのままにする場合でも、給湯器の種類によってガス供給量が変わることがあります。ガスメーターの能力で足りるかを確認してもらいます。
配管ルートの確保: 壁の中を通っている配管の状態や、露出配管にする場合の取り回しを検討します。
リモコン配線の長さ: 設置場所が変わると、室内リモコンまでの配線が届かなくなることがあります。その場合はリモコン線の延長が必要です。
見積もりを取る際の工夫
複数の業者から見積もりを取る際は、「据置から壁掛けに変更したい」という要望とともに、現在の状況が分かる写真を提示しましょう。現場の状況を詳しく伝えることで、後からの追加料金が発生するリスクを抑えることができます。
設置環境による制約を見落とさない
集合住宅や、隣家との距離が近い住宅地では、排気方向への配慮が不可欠です。
壁掛け型にすることで、隣家の壁や窓に排気が直接向いてしまう場合、排気方向を調整する「排気カバー」の設置が推奨されます。排気カバーは、排気の方向を上向きや横向きに変えるためのオプション部品で、隣人トラブルを防ぐために非常に重要です。
また、ガス栓の位置や電気コンセントの場所も検討材料です。特に電気コンセントは、給湯器の近くにないと新たに電気工事が必要となります。これらの周辺機器の配置を適切に行うことで、より安全で長持ちする設備環境が整います。
快適な生活のためにプロのアドバイスを活用する
給湯器の設置形態を変更するリフォームは、一度行うと長くその状態が続きます。だからこそ、初期段階での設計が大切です。
もし、現在の場所に不満を感じているのであれば、壁掛け型への変更は検討する価値が十分にあります。特に通路の狭さや、足元の掃除の手間を感じている家庭にとっては、生活の質を向上させる大きな改善となるでしょう。
大切なのは、自分の希望を明確にし、それを技術的な制約とすり合わせることです。配管工事のプロやガス機器の専門業者に、「なぜ壁掛けにしたいのか」「どのような生活を目指しているのか」をしっかり相談してみてください。プロの知見を取り入れることで、安全性を確保しつつ、理想の住環境を手に入れることができます。
納得のいく選択を行い、より快適で機能的な住まいを実現してください。正確な知識と適切な施工こそが、長く続く安心の根底となります。
あわせて読みたい
[給湯器の不調は放置せず早めに点検を|トラブル時の対処とプロへの依頼手順まとめ]
「お湯が安定しない、異音がするなどの不調は、大きな故障の前触れかもしれません。大切な暮らしを守るために知っておきたい、トラブルのサインと専門家への相談手順をこちらで詳しく解説しています。」